更年期のつらい肩こり対策に。食事でできる簡単アプローチ
更年期に入ると、身体の変化とともに様々な不調を感じやすくなることがあります。中でも、肩や首のこりに悩まされる方は少なくありません。デスクワークや日々の家事、育児で忙しい中、慢性的な肩こりは生活の質を大きく低下させてしまう要因となります。
このマガジンでは、更年期特有の肩こりを和らげるための食事からのアプローチをご紹介します。難しい調理は不要で、いつもの食卓に少し意識して取り入れるだけで、変化を感じられるかもしれません。
更年期の肩こり、なぜ起こるのでしょうか
更年期の肩こりは、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が大きく関係していると考えられています。エストロゲンは、血管のしなやかさを保ち、血流を良好に保つ働きも担っています。このホルモンの減少により血行が悪くなると、筋肉への酸素や栄養の供給が滞り、老廃物が蓄積しやすくなります。これが、肩や首のこりとして現れる一因です。
また、自律神経の乱れからくるストレスや緊張、骨密度の低下も肩こりを悪化させる要因となることがあります。食事を通じて、これらの要因に多角的にアプローチすることが大切です。
肩こり対策に摂りたい栄養素とおすすめ食材
日々の食事で意識的に摂取したい栄養素と、それらを豊富に含む手軽な食材をご紹介します。
血行を促進するビタミンE
ビタミンEは「若返りのビタミン」とも呼ばれ、血行を良くし、末梢血管を広げる働きがあります。これにより、筋肉への血流が改善され、こりの緩和が期待できます。
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多く含む食材:
- ナッツ類: アーモンド、ヘーゼルナッツなど。少量でも効率的に摂取できます。
- 植物油: オリーブオイル、ごま油など。日常の調理油として取り入れられます。
- アボカド: サラダや和え物にも手軽に使えます。
- うなぎ、カツオ: 魚類からも摂取できます。
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手軽な取り入れ方:
- 朝食のヨーグルトに砕いたアーモンドをプラス。
- サラダにスライスしたアボカドを加える。
- ドレッシングにオリーブオイルを活用する。
- 小腹が空いた時に、素焼きナッツを少量食べる。
筋肉の維持・修復をサポートするタンパク質
筋肉そのものを作る大切な栄養素がタンパク質です。良質な筋肉を保つことは、正しい姿勢を維持し、肩への負担を軽減することにつながります。
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多く含む食材:
- 肉類: 鶏むね肉、ささみ、豚肉、牛肉など。
- 魚介類: マグロ、カツオ、サバ、鮭など。
- 卵: 完全に近い形でアミノ酸が摂れる優秀な食材です。
- 大豆製品: 豆腐、納豆、豆乳、厚揚げなど。
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手軽な取り入れ方:
- コンビニで手軽に買えるサラダチキンを食事にプラス。
- 朝食にゆで卵や納豆を添える。
- 夕食には魚の缶詰(サバ缶、ツナ缶など)を活用し、調理の手間を省く。
- お味噌汁に豆腐や油揚げを加える。
筋肉の緊張を和らげるマグネシウム
マグネシウムは、筋肉の収縮と弛緩に関わる重要なミネラルです。不足すると筋肉がこわばりやすくなるといわれています。
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多く含む食材:
- 海藻類: わかめ、ひじき、のりなど。
- 豆類: 大豆、納豆、えんどう豆など。
- ナッツ類: アーモンド、カシューナッツなど。
- 穀類: 玄米、全粒粉パンなど。
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手軽な取り入れ方:
- インスタントの味噌汁に乾燥わかめを足す。
- おやつに素焼きアーモンドを少量。
- 主食を白米から玄米に一部置き換える。
- ひじきの煮物やきんぴらごぼうなど、作り置きできる副菜を取り入れる。
神経とエネルギー代謝を助けるビタミンB群
ビタミンB群は、糖質、脂質、タンパク質の代謝を助け、エネルギーを生み出す上で欠かせない栄養素です。特にビタミンB1は、疲労物質の蓄積を抑える働きがあり、疲労による肩こりの緩和に役立ちます。
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多く含む食材:
- 豚肉: 特にビタミンB1が豊富です。
- 玄米、全粒粉パン: 精製されていない穀類に多く含まれます。
- 魚介類: サケ、マグロ、アジなど。
- 豆類: 納豆、そら豆など。
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手軽な取り入れ方:
- 豚肉を薄切りにして、野菜と一緒に炒め物にするなど、加熱時間を短縮する。
- 朝食に全粒粉パンを選ぶ。
- 冷凍の枝豆を常備し、おつまみや副菜に活用する。
- レトルトの玄米ごはんを利用する。
忙しい毎日でも実践できる!時短・手軽な食事のヒント
フルタイムで働く方にとって、毎日の食事準備は大きな負担になりがちです。しかし、少しの工夫で栄養バランスを整え、肩こりケアにつなげることができます。
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コンビニ・スーパーの活用術:
- 調理済み食品: サラダチキン、ゆで卵、カット野菜、冷凍のほうれん草など、すぐに使えるものを活用します。
- 栄養補助食品: 栄養バランスが偏りがちな日の補助として、プロテインバーやビタミン・ミネラル配合のドリンクを賢く利用することも一つの方法です。ただし、基本は食事から栄養を摂ることを心がけましょう。
- 魚の缶詰: サバ缶やツナ缶は、DHAやEPAだけでなく、タンパク質やビタミンDなども豊富です。和え物やパスタの具材として手軽に使えます。
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簡単レシピ例:
- アボカドとマグロのわさび醤油和え:
- マグロの刺身(柵でもOK)、アボカドを一口大に切ります。
- 醤油、わさび、ごま油を混ぜたタレで和えるだけ。ビタミンEと良質なタンパク質が摂れます。
- 豚肉とキノコのレンジ蒸し:
- 耐熱皿に薄切り豚肉、お好みのキノコ(しめじ、えのきなど)、酒少々を入れます。
- ラップをして電子レンジで数分加熱。ポン酢やごまだれでいただきます。ビタミンB群と食物繊維が摂れます。
- わかめと豆腐の即席味噌汁:
- 市販のインスタント味噌汁に、乾燥わかめと一口大に切った絹ごし豆腐を加えてお湯を注ぐだけ。マグネシウムとタンパク質が手軽に摂れます。
- アボカドとマグロのわさび醤油和え:
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調理の工夫:
- まとめて下ごしらえ: 週末などに肉や魚を一口大に切って冷凍しておく、野菜をカットしておくなど、平日の調理時間を短縮する工夫が有効です。
- 電子レンジの活用: 蒸し料理や温め直しなど、電子レンジを積極的に活用することで、火を使う手間や時間を省けます。
まとめ
更年期の肩こりは、日々の食事からアプローチできる不調の一つです。血行促進に役立つビタミンE、筋肉を支えるタンパク質、筋肉の緊張を和らげるマグネシウム、そしてエネルギー代謝を助けるビタミンB群を意識して取り入れることが、肩こりケアへの第一歩となります。
忙しい中でも、コンビニやスーパーの便利な食材を活用したり、電子レンジを使った簡単な調理法を取り入れたりすることで、無理なく栄養バランスを整えることができます。ぜひ、今日から少しずつ食生活を見直し、快適な毎日へとつなげていきましょう。