更年期の疲れとだるさに。忙しくても続けられる、元気を取り戻す食のヒント
忙しい毎日の中で感じる、更年期の疲れやだるさ
フルタイムで仕事と家庭を両立されている皆様は、日々お忙しいことと存じます。そのような中で、更年期に入り「なんだか疲れが取れない」「体がだるい」と感じることはありませんでしょうか。これらの症状は、女性ホルモンの変動によって引き起こされる場合が多く、心身に大きな影響を与えます。
しかし、忙しいからといって自身のケアを後回しにしてしまうと、症状がさらに重くなることもあります。この記事では、更年期に感じやすい疲れやだるさの軽減に役立つ栄養素と、忙しい日常でも手軽に実践できる食事のヒントをご紹介いたします。特別な時間をかけずとも、毎日の食卓に少しの工夫を取り入れることで、元気を取り戻す一歩を踏み出しましょう。
更年期に疲れやだるさを感じやすい理由
更年期は、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少する時期です。このホルモンの変化は、自律神経の乱れを引き起こしやすく、血行不良や体温調節機能の低下、代謝の停滞などを招くことがあります。その結果、全身のだるさ、倦怠感、集中力の低下、肩こりといった症状として現れることがあります。
また、精神的なストレスも重なり、栄養素の消費が増加したり、食欲が落ちて必要な栄養が不足しがちになったりすることも、疲れやだるさを悪化させる要因となり得ます。そのため、この時期は意識的にバランスの取れた食事を心がけることが大切です。
元気を取り戻すために摂りたい栄養素と食材
更年期の疲れやだるさをサポートするために、特に意識して摂りたい栄養素がいくつかあります。
1. エネルギー代謝をサポートする「ビタミンB群」
ビタミンB群は、食事から摂った糖質や脂質、タンパク質をエネルギーに変えるために不可欠な栄養素です。これらが不足すると、エネルギーが効率よく作られなくなり、疲れやすさやだるさにつながることがあります。特に、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシンなどが重要です。
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多く含む食材の例:
- 豚肉: 特にビタミンB1が豊富です。疲労回復に役立ちます。
- レバー: ビタミンB群全般、特にビタミンB12、葉酸が豊富です。
- 大豆製品(納豆、豆腐): ビタミンB群の他、植物性タンパク質も摂取できます。
- 卵: 卵黄に多くのビタミンB群が含まれます。
- 玄米や全粒粉パン: 精製されていない穀物に豊富です。
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手軽な摂取のヒント:
- コンビニのサラダチキンは良質なタンパク質とビタミンB群が手軽に摂れます。
- 朝食に納豆ごはんや、スクランブルエッグなどの卵料理をプラスする。
- 白米を玄米や雑穀米に置き換える。難しい場合は、レトルトの玄米ごはんパックなども活用できます。
2. だるさを軽減する「鉄分」
鉄分は、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの材料となる重要なミネラルです。不足すると貧血になり、全身に酸素が行き渡りにくくなるため、だるさ、めまい、息切れなどの症状を引き起こしやすくなります。
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多く含む食材の例:
- 赤身肉(牛肉、豚肉): ヘム鉄が豊富で吸収率が高いです。
- レバー: ヘム鉄が非常に豊富です。
- カツオ、マグロ、アサリ: 魚介類も良い鉄分源です。
- ほうれん草、小松菜: 植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率が高まります。
- ひじき、切り干し大根: 海藻類や乾物も鉄分を含みます。
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手軽な摂取のヒント:
- コンビニのレバー煮やひじきの煮物を活用する。
- サバ缶やイワシ缶は、鉄分だけでなくDHAやEPAも摂れる優れものです。
- ほうれん草の冷凍カット野菜は、調理の手間なく鉄分を補給できます。
3. 体を作る基本「タンパク質」
タンパク質は、筋肉、皮膚、髪の毛、ホルモン、酵素など、体のあらゆる組織を作る基本的な材料です。不足すると、体の修復機能が低下し、疲れやすさや筋肉量の減少につながることがあります。
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多く含む食材の例:
- 肉、魚、卵: 動物性タンパク質は、必須アミノ酸をバランス良く含みます。
- 大豆製品(豆腐、納豆、豆乳): 植物性タンパク質源として優れています。
- 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ): カルシウムも同時に摂れる利点があります。
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手軽な摂取のヒント:
- 朝食にヨーグルトや牛乳をプラスする。
- 昼食にサラダチキンやゆで卵を追加する。
- 夕食には、焼くだけ・煮るだけの魚や肉料理、または豆腐や納豆を使った一品を取り入れる。
- 間食には、プロテインバーやプロテインドリンクも手軽な選択肢になります。その際は、糖分が控えめなものを選ぶと良いでしょう。
忙しい日々に取り入れる時短・手軽な食のヒント
読者の皆様の忙しい日常に寄り添い、具体的な取り入れ方をご提案します。
コンビニやスーパーで賢く栄養補給
時間がない日でも、コンビニやスーパーには栄養を補給できる優れた商品がたくさんあります。
- 惣菜コーナーの活用:
- サラダチキン: 低脂質で高タンパク。プレーン味なら様々な料理に応用できます。
- 調理済み魚: 焼魚や煮魚は、電子レンジで温めるだけで主菜になります。
- ひじきの煮物、きんぴらごぼう: 鉄分や食物繊維が摂れる副菜として。
- ゆで卵: 手軽なタンパク質補給に最適です。
- 冷蔵・冷凍食品の活用:
- カット野菜: 袋から出してすぐに使えるため、炒め物や味噌汁の具に便利です。
- 冷凍ブロッコリーやほうれん草: 電子レンジで解凍するだけで、手軽な野菜を追加できます。
- 納豆、豆腐: 手軽な大豆製品の代表です。
- ヨーグルト、牛乳: 朝食や間食に。
- 選ぶ際のポイント:
- 栄養成分表示を確認する: タンパク質、脂質、炭水化物のバランスを見ましょう。
- 原材料表示を見る: 添加物が気になる場合は、シンプルな原材料のものを選ぶと良いでしょう。
時短!簡単調理のアイデア
自宅で少しでも調理する余裕がある日には、以下のような工夫で効率よく栄養を摂りましょう。
- 電子レンジ調理を最大限に活用:
- 「鶏むね肉とたっぷり野菜のレンジ蒸し」:
- 材料: 鶏むね肉(薄切り)、キャベツ、きのこ、人参などのカット野菜。
- 作り方: 耐熱皿に野菜を敷き、その上に鶏むね肉を乗せ、酒少々を振りかけます。ラップをして電子レンジで数分加熱するだけで、ヘルシーな一品が完成します。ポン酢やごまドレッシングで召し上がってください。
- 「鶏むね肉とたっぷり野菜のレンジ蒸し」:
- 「かけるだけ」「混ぜるだけ」で完成するメニュー:
- 納豆とアボカドの混ぜご飯: 納豆に切ったアボカドを混ぜてご飯に乗せるだけ。ビタミンB群と良質な脂質が摂れます。
- ツナ缶とレタスのサラダ: サラダチキンの代わりにツナ缶(水煮)を使えば、手軽にタンパク質と鉄分を補給できます。
- 卵とワカメの味噌汁: 卵を溶いて入れるだけで、手軽にタンパク質をプラスできます。
おすすめの食事例
- 朝食:
- 「手軽なパワーチャージ朝食」: ヨーグルトにフルーツとグラノーラを乗せ、豆乳を添える。または、納豆と卵をプラスした雑穀米のおにぎり。
- 昼食:
- 「コンビニで栄養バランスランチ」: おにぎり(鮭や玄米入り)、サラダチキン、ひじきの煮物、ミニトマト。
- 夕食:
- 「時短でしっかり栄養ディナー」: 焼くだけのサバや鮭(メイン)、豆腐とワカメの味噌汁、冷凍野菜を炒めたもの(副菜)、納豆。
毎日の積み重ねが、元気な自分を作る
更年期の疲れやだるさは、食事の工夫で軽減できることがあります。忙しい毎日の中で、完璧を目指す必要はありません。今日から一つでも、手軽に始められる食のヒントを試してみてはいかがでしょうか。
ご紹介した栄養素や食材は、日々の生活で比較的取り入れやすいものばかりです。コンビニやスーパーを上手に活用し、時短調理のアイデアを取り入れながら、無理なく美味しく栄養を摂り入れていきましょう。毎日の小さな積み重ねが、更年期を元気に乗り越えるための大切な一歩となるはずです。